AMEBIC

e0076213_1536851.jpg
 さあ私の太陽神よ、舞い上がれ。安宿に泊まる私を照らせ。「ああ寂しいああ悲しいふふ一人だ私は」 作家のパソコンに残された錯文。孤独と分裂の果てに、「私」は、それを「彼」に伝えようとするが……。

と、いうことで金原ひとみの第3作『AMEBIC』。美少女作家大好きのレビュアー陣の評価はいかに?


e0076213_15271719.gif 金原さんの作品って、なんだか壊れた人ばかりが出て来るイヤなお話ばっかりなんですけど、そんな雰囲気をどこかぽーんと突き放すようなところがあって、読んだ後は何故か不快にならないんです。この『AMEBIC』の主人公は、金原さん自身がモデルっぽい若い女の作家さんなんですけど、この人の変な行動を見ているととっても気持ちいいいんです。なぜか、この人みたいにどろどろ・ぐちゃぐちゃしている人の方が自然体で好感がもてて、途中出てて来るまともな人たちの方がなんだか不気味に見えてくるから不思議です。孤独な女の子の切なさが、読んでいてきりきりと伝わってきます。
★★★★★ ★★★ (8点)


e0076213_15273718.gif 宣伝用の本人の痩せたグラビア写真で、まず+1.まぁアッシュベイビーよりは下がるけど面白かった。楽
しみ所は躁鬱激しい自意識のジェットコースターに乗ってるようなドライブ感。特に感情が盛り上がった後、萎えてく瞬間(理解不能だから唯一無二だったはずの錯乱文が編集者にあっさり解説されてしまう所)が痛気持ちいい。多分この人が書きたいのは「特別な私を志向する凡庸な私の恥ずかしさ」で、それが自身の状況へのの自己言及になっていて自分がどう消費されてるかよく分かってるなぁと思う。だから次回作には本人のグラビアを10ページくらいつけてほしい。そこまでやった時 、金原ひとみという文壇アイドルは完成する!
★★★★★ ★ (6点)


e0076213_15275399.gif 身体性の欠如、分裂、自己自身からの疎外と言うテーマ、"錯文"や無記名な日常と言った手法それ自体が、特に目新しくも無ければ面白くも無いことは置くとして、金原ひとみ氏のデビュー3作目はそれなりに面白いと思う。『蛇とピアス』にあったブンガク好きのオッサンへの媚めいた、サブカル馬鹿っぽい作り物の生臭さは消え、逆に作り物そのものと言った、金原自身を思わせる小説家の隙間の多い日常と、異様なテンションの"錯文"のコントラストが、自己からの乖離を際立たせる。恋人への想いが断ち切れるように消え去ってしまうラストの呆然とした感覚は、セカイ系なんかよりも全然切なくて泣かせると思う。☆の数は今後への期待も込めて。
★★★★★ ★★★ (8点)


e0076213_15281069.gif 金原ひとみを一言でいうと「狂気に憧れる凡庸」だろう。本人は「わかってやってるよ」というサインを散りばめているが、浅いところで空回りしている。例えば本作の見せ場である「錯文」&「語り」パートの寒さを考えるとかなり頭が痛くなる。こういう手法や身体性なんて「いかにも」なテーマ設定自体が悪いとは言わない。でも本当に「トパーズもの」(笑)を書き続けることが彼女の資質にあっているのかはかなり疑問。反面、主人公とその恋人の婚約者が対峙するシーンや、街に出たときの描写、プロット運びは今までの中で一番巧く、なかなか読ませる。変化球を投げるほどこの人はベタベタになるのだから、次は直球勝負でいい。
★★★★★ (5点)
[PR]
by wakusei2ndnews | 2005-10-15 15:35 | novel
<< メゾン・ド・ヒミコ 長い道 >>