ニート

e0076213_2093765.jpg


 駆け出し負け犬女性作家と、ニート青年との淡い関係を描く表題作。大阪の彼女と名古屋の育ての母との間で揺れる東京のホテルマンを描いた「へたれ」他全5編の短編集。高学歴バブル就職→ドロップアウトという経歴をもつ作家・絲山秋子の最新作。芥川賞に3度、直木賞に1度振られた彼女。これで逆襲なるか!?



e0076213_20102713.gif 絲山秋子さんってどんな人なんだろうっていっつも想像するんです。きっと本当は頭が良くて、敏感な人なんだけど、敏感すぎて辛い恋をしたり、心を病んでしまったりして社会からこぼれおちちゃった人だと思うんです。私は絶対にこういう生き方は出来ないけど、こういう人生を歩んでいる人じゃないと書けない独特の雰囲気がとっても文学っぽくて私は大好きです。誤解しないでくださいね、私はちゃんと働かないといけないって思っている人だし、こういう恋ってお互いを傷つけるだけだと思うんですけど……。でもこういうちょっと不道徳なのがやっぱり文学っぽくていいんですよね!
★★★★★ ★★ (7点)
 
 
e0076213_2010546.gif えー、女性版「キミと私」で、負け犬女がニートにダメ萌えする話。萌えるのは一向に構わないが、それ以上に文芸としての面白さに欠ける。文体も淡々としていると言うよりは単に味気が無く、全体的にパフォーマティヴな面白さの域を出ない。低所得層の行き詰った恋愛と言う意味では、本書に描かれる状況は政治的には正しいのかもしれないが、自己の弱さ、反社会性をダメ男に転化し、それを恋愛やら行き場の無い切ない気持ちやらのオブラートで包み込んで高尚なものに仕立て上げる心理は、泣きゲーで可哀想な女の子萌えしているエロゲーマーのメンタリティと何ら変わらない。個人的にはbookoffで叩き売られてても買うかどうか怪しいところ。
★★★(3点)


e0076213_20111535.gif 一貫してニート的な男性との恋愛を題材にしてきた絲山秋子だが、そろそろ作家としての転換期を迎えている模様。弱くて優しいダメ男との交流が、今作では初めてゆるやかに破綻している。『ニート』の「先のことはわからないし、恋人や夫婦の関係でもないけど、アンタの面倒くらい私が見てあげるわよ」というエンディング、これまでの絲山作品にも共通する母性の決意が、続編の『2+1』では完全に挫けて終わっている。その後で、なお友達以上・恋人未満の繋がりに希望を見出せるのか。……セックス無しのヌルい男女関係に見切りをつけた結果が、スカトロプレイ(『愛なんかいらねー』)だったりして(笑)。次回作が楽しみだなあ。
★★★★★ ★★★  (8点)


e0076213_20113434.gif どんどん自己模倣に陥っているイト山が例によって芸のない「だめんず萌え」&「ドロップアウトした私が好き」を展開(笑)。デビュー作の『イッツ・オンリー・トーク』の微妙な倦怠感からどんどん単純化&後退しているのにそこそこの位置に収まりそうになっているのは「だめんず萌え」メンヘル負け犬キャラで売り出したイト山に文壇中年が萌えているのと、そんなイト山に憧れちゃうカワイソーな女子がそれなりの数いるってことなんだろうけど、いい加減誰か言ってあげたら? まあ、『だめんずウォーカー』に出るほどにはモテない負け犬女子も、こういうキャラ売りでいけば浅田彰まで褒めてくれるんだから、狙ってやっているであろうイト山女史は大したものなのかも。
★★★ (3点)
[PR]
by wakusei2ndnews | 2005-12-01 20:11 | novel
<< トリック新作スペシャル 空中庭園 >>