アンダーカレント

 
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 婿養子に逃げられた銭湯の女主人の前に現れた、どこか陰のある釜たき男。
 行方不明の夫のことを想いながら、ヒロインは釜たき男と微妙な距離感を保ちながら日常を過ごしていくが……。
 豊田徹也によるアフタヌーン文芸漫画の話題作が登場!
 

e0076213_21425374.gif なんか、昔の映画みたいですよね。下町の人情もの。でも、この漫画の世界ってひんやりとしていてとても不思議な感じがします。かなえさんと堀さんの関係も、なんだか大人同士って感じで憧れちゃいます。私はこういうお話は素直に感動したい方なのでもうちょっとラブラブなやりとりが見たかったかもです。キャラクターでは近所のおじいちゃんが好き。あの探偵さんも好みのタイプじゃないけどいい味が出ていると思います。こういう文学っぽいのも素敵ですけど、次はもう少し楽しくてわかりやすい作品が読みたいです。あと私、あんまりこのかなえさんの気持ちがわかんないかも。
★★★★★ ★★★ (8点)


e0076213_214333100.gif 旦那に失踪された銭湯の女主人を巡る、それぞれにちょっとワケアリ気味な人たちの人間模様。基本的にはメロドラマ=感傷の気持ちよさに酔うための物語であって、憂いに満ちた未亡人(別に旦那死んでないけど)ってやっぱいいよねというだけの話なのだが、大友克洋を思わせる乾いた描線と抑制の効いたダイアログ、そしてものすごくよくできた映画のようなレイアウトとカット割りの上手さによって、メロドラマ特有の黴臭さを感じさせない、むしろコミカルさすら感じされる作品になっている。そのあたりがサブカル漫画スキーにも人気なポイントだろう。話は正直どうでもいいんだが読んでてとにかくキモチイイ漫画。かなえさん萌え。あとサブじいの懐の猫がかわいい。
★★★★★ ★ (6点)


e0076213_2143507.gif ドラマ性の徹底的な排除や小津系の映画を意識しまくったセリフ回しに加え、さびれた銭湯という舞台設定はもう、いかにもアフタヌーンな文芸マンガ。朝日の日曜の書評欄ではおそらく、主人公のトラウマと釜炊きの男の人生がクローズアップされるんだろうけど、そんな簡単に読めるマンガじゃないと思う。物語に弾力を与えているのは誰あろう、主人公の失踪した夫を探す探偵で、何かをわかっているようで実は何も分かっていない思わせる高田純次的軽薄さが素晴らしい。作者のメッセージは最終回のサブじいのセリフに集約されてると読むのがまずは妥当だが、あれだけで分かったつもりになって悦に入っている読者を嘲笑う作者の底意地の悪さに気が付かないとダメ。
★★★★★ ★★★ (8点)


e0076213_2144755.gif さりげない演出が絶妙。無駄にドラマチックなコマ割りでやたらとあざとい演出が好きな人が最近多い中、きちんと地力で勝負して、これだけやれているのがすごい。無駄のあるようでない構成、地味なドラマ展開を支えるしっかりとした描写、二重三重に韜晦する脇役たちがもたらす深み……どれを取ってもすばらしい。俗情に流されず、ストイックに終わらせるのもよく心得ている。それだけにヒロインの幼児期のトラウマにすべてを収斂させるオチはやはり疑問。トラウマなんかない普通の女が、いつの間にかあんな気だるさを身につけてしまっている方がずっと魅力的で深いのに。不満はあるが、世評に違わない佳作であることは確実。
★★★★★ ★★ (7点)
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by wakusei2ndnews | 2005-12-23 21:44 | comic
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