エリ・エリ・レマ・サバクタニ

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 西暦2015年。感染すると突発的に自殺してしまう正体不明のウィルス<レミング病>が世界中に蔓延、世の中は恐怖と絶望に覆い尽くされようとしていた。発病を抑制する唯一の方法は、日本のあるミュージシャン2人が奏でる“音”を聴くことだという。大富豪ミヤギは、レミング病に感染した孫娘ハナの命を救うため、探偵を使って2人の行方を探し始めるのだった…。

 「EUREKA ユリイカ」「レイクサイド マーダーケース」の青山真治監督の最新作。
 主演は、共に青山作品2度目の登場となる浅野忠信と宮崎あおい。中原昌也、筒井康隆の異色キャストの出演も話題に。 
 
 
 
e0076213_23261454.gif 感動しました! 私もこの映画のあおいちゃんくらいの頃は、なんだか生きている意味がわからなくて、神戸の事件とかニュースで見て「人を殺していけない理由ってなんだろう」とか考えていました。手首に刃物をあててみたこともあります。お薬を飲んでいたこともありました……。そんなとき助けてくれたのが、いろんな作品との出会いなんです。きっとこの映画のあおいちゃんも、浅野さんの音楽を聞いて、なにかすっごく大きなものに出合って、そして「死にたい」って気持ちに打ち勝ったんだと思います。私の生涯のバイブル・宮台先生の「サイファ」を思い出しました! 明日からまた読み返そうと思います。レッツ・サイファ!
★★★★★ ★★★★★ (10点)


e0076213_23321638.gif ポストモダンな昨今、ノイズこそオルタナティヴだよね的な映画だったら嫌だなと心配していて、実物を見てからもしばらくは罵倒の文句ばかりが脳内に沸き起こったのだが、中盤以降の展開を見ているとやはりそう単純な話でもないと思い直した。延々と音ばかり鳴っている作品だが映像と音の主客逆転と思われる場面が何度かあり、両者の緊張関係によって音響が単なるノイズ(雑音)ではない自由を獲得するという逆説的な構造はなんとなく分かる。実際あまりうるさいとも思わなかった。この映画自体がヴェンダースの『夢の果てまでも』を強く意識している点も興味深い。阿部和重のメイキングが楽しみ。
★★★★★ ★★★ (8点)

 

e0076213_23323861.gif 映画はロックだ?(ロックじゃなくノイズらしいけど) ヴェンダースの影響? ジョン・カーペンターみたいに世紀末SF仕立てでやりたい放題やっているが、いかんせんインテリの出自が邪魔して、バカになりきれていない。映画的教養と現代の寓話みたいにしているのが鼻につく。この辺りが青山の限界か。拾いものは中原昌也の奇妙な存在感。出番は少ないのだが、なんか彼が自転車に乗っているだけで面白い。「死ね!」と食堂から飛び出していく場面なんか最高。そこは私だけでなく場内から笑いが漏れていた。たぶん彼の文章から受けるイメージに近かったからだろう。たむらまさきによる撮影が美しかったので、一応退屈はしなかった。
★★★★★ (5点)


e0076213_23325869.gif 自殺病=現代的な(90年代後半的だけど)疎外感という安直な暗喩、音楽(超越性)による救済というベタな構図(よりにもよってノイズ!)、そして浅野(超越性に接続できるアウトロー)が宮崎(体温の低そうな厭世感漂う少女)を救うなんていう援交オヤジロマン全開の発想(笑)。無駄に玄人受け狙っているけど、要はオヤジ妄想が理論武装してあるだけ。完成度も低く、100%展開が予測できる安易な筋書きも酷いが、「大草原の下で魂のノイズ演奏」とか、「その演奏で失神する宮崎」とか、「あっさり描くことで『死』を強調する手法」とか、演出的にも見てるこっちが恥ずかしくなる絶望的にアレなシーンの連発が辛すぎる。10年前ならいざ知らず、今更これはない。でもみんな「青山だから」褒めるんだろうね。
★★★ (3点)
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by wakusei2ndnews | 2006-03-27 23:33 | movie
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