大学は出たけれど……状態のモラトリアム主人公たち。趣味のバンドは泣かず飛ばず。でも諦めて就職する覚悟もない。できることと言えば、青臭い文句を繰り返すことだけ……。 『ひかりのまち』で「マンガ読み」の熱い支持を受ける一方で、その小学館的な隙のないあざとさにアンチも多い浅倉いにお。先日、最終第2巻が発売された『ソラニン』を徹底レビューします。 もう2巻は涙が止まりませんでした。現実ってとっても厳しくて、辛くて、灰色で、代わり映えしない毎日がずっと続いていくのかなあって思っちゃうけど、ギターを片手に思いっきり叫ぶだけで、こんなに世界って豊かになるんですね! やっぱりこんな時代だからこそ、つまらない大人になんかならないで一生懸命夢を追いかけて欲しいです。なんだか昔大好きだった尾崎豊さんのCDをまた聞きたくなっちゃいました。ああ、私も種田君みたいな彼氏が欲しいなあ。インターネットにはなんだか「世の中の大きな流れ」に負けないようにがんばっていそうなことを一生懸命書いているオトコノコたちがたくさんいるから、もしかしたら素敵な出会いがあるかもしれませんね! (10点) ★★★★★ ★★★★★ 前作「ひかりのまち」を読んだ時はうまさや完成度が逆に弱点に見えてしまった。90年代のサブカル系マンガの影響が露骨なのも辛い。その限界を本作では半歩だけ抜け出して普通に読める漫画になってると思う。今までの上から見たようなクールな作風も、20代後半のモラトリアムという作者にとって身近すぎるモチーフなだけに身につまされるし登場人物に感情移入できた。そして2巻以降のライブにいたる流れもちゃんとカタルシスがある。その意味で大きな分岐店になる作品だと思う。でも一番偉いのは芽衣子ちゃんみたいなブサイクスレスレの可愛い子の魅力をちゃんと描けてることだと思う。ソラニンニン。 (5点) ★★★★★ 登場人物全員、ダメ人間。モラトリアムにも程があるユルい人間関係。バブルを知らない子供たちの、青臭い絶望。巧妙に仕組まれた情動喚起のためのドラマツルギー。鼻につくほど単館上映のオサレ映画テイスト。あらゆるガジェットがリトルモアとか銀杏BOYZの好きなサブカル女子を狙い撃ちすぎて、読んでるこっちが気恥ずかしくなる。正直、こんな不愉快なマンガは大嫌いなんですよ。絵が巧いのもムカつくし、このあざといストーリーをネタではなく素でやってるんだろうなあっていう作者の無防備さにも絶望を禁じ得ない。……にもかかわらず、こぼれ落ちる涙。いやあ、自分がこんなもんで「感動」を消費するほど動物化していたとは気づかなかった。 (8点) ★★★★★ ★★★ ありもしない「大きな壁」に拳を振るっているつもりで、実は自分の隣を走る小さな存在の足を引っ張ることしか頭にない……今どきカウンターカルチャーを気取っちゃう人間や、安易な「モラトリアムもの」はすぐにこの罠に陥ってしまう。本作も読み始めたころは、「また『こんな時代だからこそあえてロック』か」と失笑したものだったが、後半のあざとく巧妙な転がし方には素直に感心。これは種田=カウンターカルチャーの死をそれなりに受け止めた上で、愛と訣別を込めて捧ぐささやかな葬送曲に他ならない。まあ、死んだ存在を神棚に祭り上げて、本当に諦めなきゃいけないものから最後の最後で逃げている甘さはあるが、ジャンルの中で頭一つ抜けた佳作であることは間違いない。 (6点) ★★★★★ ★
by wakusei2ndnews
| 2006-06-13 01:49
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