ひと夏の経験値




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 舞台は90年代前半。テーブルトークRPGに耽溺するオタク高校生軍団の前に現れた一人の美少女!
 ファンタジー世界に現実逃避を続ける少年たちのハートが鷲づかみにされたそのとき、彼等の中で「何か」が変わり始める……。
 TRPG誌「ロール&ロール」に連載され、賛否両論を呼んだ傑作サークルクラッシュ(未満)小説をレビューします!



e0076213_119262.gif とにかく懐かしい~。私も高校のころは友達に誘われて、テーブルトークRPGにハマっていました。他はみんなオトコノコばっかりだったけど、みんな私に優しくしてくれて、とっても楽しかった想い出があります。でも、この本に書いてあることが本当だとすると、もししかたらあの頃一緒に遊んでいたオトコノコって、私のこと好きだったのかもしれない……とか思っちゃいました。でも、誰も告白してくれなかったのはどうしてなんだろう。告白されたらされたで、ちょっと困っちゃったと思うんですけどね。あー、私もまた、ちやほやされたいなあ。
(9点) ★★★★★ ★★★★



e0076213_1192095.gif 恋愛に対して臆病で不器用な「草食動物」な少年たちの青春物語。こっぱずかしくてカッコ悪い青春だからこその楽しさが嫌味なく描かれていてけっこう胸キュン。ただオチがちょっとヌルいよなあ。多少苦い結末であった方が、その不毛な輝かしさがより際立ったのではないかと思う。あと、現実の自分の行動に対してはあれほど自覚的な主人公が、ゲームマスターとしての自分の心理にはなぜあれほど無自覚なのかが疑問。そこをもう少し突っ込んでいれば、90年代初頭のTRPGシーンという舞台設定にも、ノスタルジー以上の意味を持たせられたのではないだろうか。
(4点) ★★★★



e0076213_119461.gif 90年代前半が舞台のテーブルトークRPGサークルに所属する高校生の青春譚。男ばっかりでゲームやってたトコにかわいい女の子が参加することでっていう展開なんだけど、当初予想していた方にはあまり行かず思ったよりいい話で最後はちょっと拍子抜けしたけど青春モノとして秀作。スポーツをする同級生の男子生徒を見て、俺達だって青春してるんだって突っ張るトコは『さくらの唄』を思い出した。主人公の男の子には共感したけど、あれは悪い方に転がる可能性の方がデカイんだよなぁ。あとは一人の男の子が脱オタする展開が泣けた。思春期の男の子の痛くてかわいい部分が刻みこまれた作品だと思う。
(7点) ★★★★★ ★★



e0076213_1110224.gif テーブルトークRPGの類はまったく興味が沸かず、一度も経験していない私でも十二分に楽しめたのは、やはりサークルクラッシャー小説としての完成度の高さだろう。「いい人」であるが故にオタクの遊びにつきあってあげる女子の善意が、ピュアな童貞男子たちをドキマキさせる過程の描写が素晴らしい。脱オタに走る人間への僻み根性や、「告白」なんて思いもよらないウブさ加減といい、あざとい戯画化が空回りがちだった『ヨイコノミライ』よりも、本作の方がぐっとリアルで深く、しかも愛情に溢れている。この世に不器用な童貞男子よりカワイイものはないのだ! ただ、もう少し悪意があればぐっと面白くなったはずで、そこが残念ではある。モテない恨みをネット恋愛論パフォーマンスにぶつけているタイプの人にもオススメ。
(6点) ★★★★★ ★
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by wakusei2ndnews | 2006-11-03 11:10 | novel
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