2005年 10月 17日 ( 1 )

メゾン・ド・ヒミコ

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 『ジョゼと虎と魚たち』で一世を風靡した犬童一心監督×渡辺あや脚本コンビの第二弾は、5年間あたためた企画『メゾン・ド・ヒミコ』。
 ゲイである父親に捨てられた過去もつヒロイン(柴崎コウ)が、父の若い愛人(オダギリジョー)の勧めで、父の経営するゲイ専門の老人ホーム「メゾン・ド・ヒミコ」のスタッフとなり、死病に侵された父との再会、そしてゲイコミュニティとのふれあいを体験する。



e0076213_22583661.gif 大好きだった『ジョゼと虎と魚たち』から2年……ついに渡辺あやさん(脚本)と犬童一心さん(監督)のコンビの映画が登場ですね! ゲイの人たちの話と聞いて、最初はちょっと入り込みにくいなあって思っていたんですけど、後半はあの老人ホームがひとつの家族みたいに思えてきて、とっても暖かい気持ちになれました。こんな人間関係があれば、きっと何があっても強く生きていけますよね。オダギリさんと柴咲コウさんには結ばれて欲しかったけど、最後はとっても感動しました。一番好きなシーンはみんなで夜の街に遊びに行くところです。観て絶対損はしないいい映画です。騙されたと思って観て下さい!
★★★★★ ★★★★★ (10点)


e0076213_230309.gif 実現するまで5年もの歳月がかかった本作は同監督の『タッチ』とは比べ物にならないぐらい濃密にグツグツと煮込まれていて、見終わったあと、しばらく頭の中で整理がつかない。ここでいうゲイとは一人一人が生まれながらに違っているという人間の「個」の象徴であり、これはその「個」を巡る物語である。脚本の渡辺あやは「個」と血縁は切り離せるのか、「個」の共同体は可能なのか、また愛に「個」は必要だが肉体関係に「個」はむしろ邪魔だとか、あらゆる視点から「個」の問題に切り込んでいく。結局老いや死の前では「個」は滅ばざるを得ないのだが、それゆえに「個」が見せる一瞬の煌めきが実にいとおしく美しく描かれる。注目すべき力作。
★★★★★ ★★★★★ (10点)


e0076213_22592712.gif ジョゼと比べるとメゾンはすこし散漫だったし、新鮮さに欠けていた気がしました。桃源郷的な共同体もゲイとの関係も嘘っぽい話なので、ファンタジーに徹するかリアルで通すかはっきりしてほしかったです。例えばダンスシーンで現実(素の表情っていう意味でのリアル)に引き戻されたりすると、観てる側としては非現実的な側面に注目せざるを得なくなります。コスプレのシーンにもちょっと違和感を感じました。ただしこれらすべてを凌駕するほどにオダギリジョーが麗しい。だからメゾンはトータルでは好き。ってかオダギリ最高。彼は確実に良くなっています。数年前に見たときはうすっぺらないまどきの美男子だったのに。こんなにいい男だったっけ?
★★★★★ (5点)


e0076213_22594746.gif『ジョセ』が身障者や部落差別の問題を口当たりのいい泣きサプリメントに加工した作品なら、今度は「ゲイ問題」で同じ手を使った作品(笑)。悪意すら感じるこの手法は政治的には問題アリかもしれないが、威力は抜群。犬童全開の淡い画面作りや絶妙な対象への距離感も相まって、構造が全部透けて見えるのについ手が伸びてしまう上品な味わいに仕上がっている。マイノリティとの交流をレジャーとして消費することへの後ろめたさが織り込まれているのも前作同様だが、『ジョゼ』ではそこで被差別者の覚悟と諦念が提示されたのに対し、本作では一歩進んで差別者のレジャーを受け入れる寛容さが希望として提示されるのが興味深い。現代的な疎外感(笑)が擬似家族に回収されるってのはありがちな発想だけど。
★★★★★ ★★★ (8点)
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by wakusei2ndnews | 2005-10-17 23:03 | movie