2006年 02月 04日 ( 1 )

ゲルマニウムの夜

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 あの花村萬月の芥川賞受賞作『ゲルマニウムの夜』がなぜか今更映画化!
 制作総指揮に『赤目四十八瀧心中未遂』の荒戸源次郎を迎え、文化庁の支援の下に制作。監督は麿赤児の次男(!)大森立嗣、脚本は浦沢義雄という謎の面子で送る映画が上野の東京国立博物館の敷地内に設けられた、特設劇場で上映中……。
 委員会メンバーで上野へ赴き、その実態を確認してきました!


e0076213_9364844.gif 私、こういう汚いの嫌いです。嫌いなのに、何故か食い入るように見てしまいました。修道会みたいなところにこんな醜いものが詰まっているなんて、人間の心って奥が深いなあと思いました。なんか、昔好きだった「エヴァンゲリオン」とかSABU監督の映画っぽい空気が懐かしかったです。上野の美術館のとなりにできたお洒落な映画館で観たんですけど、建物の中がすごくオシャレで、シートもゆったりしていて、2000円はちょっと高いけどいい映画館だなあ、と思いました。でも、いくつかさすがに引いちゃうようなシーンがあって、みなさんにお勧めするのはちょっと……って思います。人を選ぶ映画ですね。
★★★★★ ★★ (7点)


e0076213_937323.gif お足元の悪い中、2千円払って見に行くのは高い。平板で単調、奥深さが感じられない。なんだかアートっぽい、ただそれだけ。それもそのはずで、監督もカメラマンも新人だそうな。原作をそれなりに映像化できてはいるが、活字の小説の方がより脳にダイレクトに殴りかかって来て強烈だった。犬も豚を含めキャストは皆好演していたとは思う。久しぶりに石橋蓮司の怪演が見れて胸を撫で下ろし、広田レオナのシスター姿にそそられ、早良めぐみの初々しさに癒される。「童貞様」と言われると、なぜだか訳もなく誇らしげな気分になってしまいますよね。映画って本当にいいものですね。
★★★★★ (5点)


e0076213_9374023.gif 信仰を抱きつつタブーを犯す主人公が逆説的に神に近づく、という原作のテーマが完全に色あせてしまっている。芥川賞受賞の時点でもこの信仰は安っぽく見えたが、8年後の現在ではなおさらで、罪を犯すことに対して何のひっかかりも感じさせない。脱社会的な犯罪が当たり前になってるのに、今さら禁忌を犯すことに意味を見出されてもねえ。東北特有の雪解けの汚さや、豚や鶏の畜舎での労働のシーンは身にしみる暗鬱さを描き出していて、テーマ的にハズした部分を除けば、決して悪い映画ではないのだが……。
★★★★★ (5点)


e0076213_9375496.gif えー、昔、花村萬月が何故か純文学扱いされて芥川賞取ったって事件があったんですね。しかも旧作の焼き直しで(笑)。修道会での虐めと背徳、性と暴力のオンパレードで「人間を描いている」そうですので、エヴァのラスト程度で絶望できたヌルい人なら充分震えることができます。で、21世紀になって映画になった本作は、この程度の批評意識もなく素直に「こういうのカッコイイ」と思って映像化。今更、聖俗の逆転なんてテーマ自体が陳腐にも程があるんだし、浦沢脚本にするなら思い切ってミュージカルにでもすればよかったのに。ただ、文章ではあざといだけだった小道具も映像ではそれなりに力を発揮しているし、役者陣も悪くない。
★★★★★ (5点)
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by wakusei2ndnews | 2006-02-04 09:39 | movie