2006年 06月 25日 ( 1 )

嫌われ松子の一生

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 『下妻物語』の中島哲也監督待望の最新作がついに登場!
 山田宗樹の同名原作をミュージカル風にアレンジ。「耐える昭和の女」の転落劇をコミカルに描く話題の映画を取り上げます。



e0076213_4163316.gif こんなに悲しいお話なのに、観終わったあとになぜか心が洗われるような気分になっていました。帰り道では思わず映画の中のミュージカルの歌を口ずさんじゃいました! こってりとした味わいの映画なのに後味がさわやかなのがすごいです。この後に引かない口当たりのよさって、絶妙ですよね。監督とケンカしながらがんばった中谷美紀さんの好演に拍手ですね。本当に不思議な映画でした。それにしても『下妻物語』のときはほとんど映画館に人がいなかったのに、『松子』はCMもいっぱい流れるし、『ニュース23』では監督と筑紫さんが対談しちゃうし、扱いがすごいですねー。
(9点)★★★★★ ★★★★



e0076213_4153022.gif 前作『下妻物語』で古くさい熱血友情モノの味をカラフルなCGで現代に甦らせた中島監督だが、今回は昔の日本映画が得意とした一人の女のお涙転落劇を同様の手法で見事に復活させた。やや滑りがちな小ネタとケバケバなCGで誤解されがちだが、この監督は映画というものをよくわかっていて、泣かせ所のカメラワークや役者の見せ方に狂いがない。ミュージカル演出にしても本家アメリカの『シカゴ』や『プロデューサーズ』なんかより遙かに本物らしい躍動と情緒がある。劇中の「今度こそ死んだと思った。でも次の瞬間には歌っていた」という台詞どおり、最後まで前向きだった松子の一生に素直に感動できた。助演では黒沢あすかが良かった。
(10点) ★★★★★ ★★★★★



e0076213_4151555.jpg 中島監督の前作『下妻物語』や『木更津キャッツアイ』で描かれた、「空虚なこの時代に生きるボクたちには、確かなものなんて何もない。でもだからって90年代みたいに自閉せず、身の回りのファストでジャンクな現実から生き甲斐をやりくりし、カラッと笑い飛ばしながらシブトク生きよう!」という惑星開発委員会好みの00年代的テーマを、テンポよい映像技術と演出で「昭和」のバイタリティを圧縮・戯画化することで高度に普遍化・結晶化した到達点。……なのだが、00年代も折り返しを過ぎた今、そのコミカルなモードが、ステージの低い「だめ萌え」の域を越えていないのではないかという嫌疑もまた拭えず。ラストの取ってつけたような、あの世での妹との和解というヌルい救済は、少なくとも不要だった。
(6点)★★★★★ ★



e0076213_4144845.gif ベタベタの泣かせ話である原作を中島『下妻』演出でミュージカルに、というアイデアの勝利。こんな話をよくもまあ喉越しよく見せたものだなと素直に感心する。ちゃんとサントラが欲しくなるのもミュージカルとしては大事なこと。ただ、前作と比べた場合、原作の力の強弱がそのまま作品のインパクトを左右してしまった感は否めない。たぶん、この映画を観た人のたほとんどが「面白かった」「笑えた」「泣けた」と言うだろうが半年後に目を輝かせて「この映画が好き!」と語る人はまずいないだろう。TBSの隙のない(そしてあざとい)プロモーションも含めて、完成度の高いサプリメントを食べているような気分になる。間違いなく今年観た映画の中では1、2を争う出来なのだけど。
(7点)★★★★★ ★★
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by wakusei2ndnews | 2006-06-25 04:16 | movie