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空中庭園

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 直木賞作家・角田光代の同名小説を小泉今日子主演で映画化。ある平凡な一家の空虚な肖像と、それぞれが抱える心の闇をシニカルに見つめた現代的な家族劇秘密をもたないことをルールにしている京橋家の人々。だが、夫は浮気中、娘は見知らぬ男と関係をもち、息子は学校をサボっていた。そして、最もルールに固執する母親の絵里子にもある秘密があった……。
 豊田利晃監督の逮捕劇と、それに伴うメジャー公開の中止により話題をさらった一作。
 果たして映画自体の出来は?



e0076213_223309.gif 小泉今日子さんのお母さんがキュートで素敵! こんなお茶目でカワイイお母さんと「ともだち母娘ー」って感じでやれたらすっごく楽しいだろうなって思っていたんですけど、話が進むうちにどんどん家族の秘密が出てきてビックリ。普通こんなお話だとドロドロしちゃうんですけど、この映画が不思議なのはそれでいて雰囲気がなんかあっけらかんとしていて気持ちがいいところ。特にクライマックスの小泉さんが雨に打たれるところはゾクゾクっとするシーンなのにとっても綺麗で見とれてしまいました。私はこんな家族絶対いやだけれど、いい映画だと思います。誰だって家族に言えない秘密って、きっとあると思いますし。
★★★★★ ★★★★ (9点)


e0076213_22332950.gif ストーリーは平凡。「あー、あれだろ? なんかこう現代的な家庭の虚構性が暴かれたりして、だけど最後には絆がより深まっちゃったりかなんかするんだろ?」とか思って見てたらまったくもってその通りで、にもかかわらず大変面白かった。役者がとにかくいいんですよ。板尾創路も大楠道代もソニンも二人の子供もみんなよかったけど、なんてったってKYON2ですよ。連邦のモビルスーツは化け物か。
 前半は欠伸が出るほど退屈だけど、誕生日のシーンあたりからぐあーっと面白くなってきますんで、我慢して最後まで見てください。
★★★★★ ★ (6点)


e0076213_22334386.gif モノ凄い離れ業をやってのけた豊田利晃の怪作にして傑作。隠し事のない家族の「病」を描く話ながら、最終的には小泉今日子と大楠道代の親子関係の修復のドラマになるので、下手すれば東芝日曜劇場ぐらいの泣かせ家庭劇にできると思うのだが、豊田はニュータウンやラブホテルといった題材を大きく取り上げ、長回しや回転する画面、血のイメージなどを使って毒々しく味付けし、さらに板尾創路のコミカルさまで加えて、なんとも異形の家族映画にした。元アイドル小泉の仮面を幸せなフリをする主婦の表の顔に使うのも見事で、狂気のはらみ方に奥行きがある。リアルとシュールの狭間を行くこの監督の面目躍如といえるが、刑務所行きがつくづく残念。★★★★★ ★★★★★ (10点)


e0076213_22335818.gif これは郊外映画の秀作にして21世紀版『家族ゲーム』と言っていい出来。角田原作は言わば「モノは溢れるが物語のない郊外」で、「唯一機能している家族という物語」だったわけだが、この映画版は巧くエピソードの取捨選択を行いながら、原作にはない悪意としゃれっ気を盛りこんでポップで異様な独特のフィルムを完成している。特に、被害妄想の果てに見せる小泉今日子の演技は素晴らしい! ソニンと大楠道代のガチンコ勝負、板尾創路と永作博美の掛け合いなど、名シーンと呼ぶほかないシーンの連発も美味し過ぎる。主役の小泉を筆頭にやはり配役の勝利なのだろうが、原作には深度でこそ劣るが、ぐっと幅が広くなっている。
★★★★★ ★★★ (8点)
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by wakusei2ndnews | 2005-11-26 22:34 | movie

機動戦士ΖガンダムⅡ 恋人たち

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 話題の『Ζガンダム』20年目の劇場版が登場! 「新訳」の名の下に展開する第二章は「恋人たち」と銘打たれた男と女のドラマが詰まった90分。さて、その出来はいかに!?



e0076213_2124687.gif この「Ⅱ」では私がいちばん好きなカミーユとフォウのホンコンのお話が入っていて、とっても良かったです。あのお話って、何度見ても泣いちゃいますよね。あとサラとカミーユが月でデートするお話も素敵でした。クワトロさんの「私は独り身だ」もなんだかカワイくて◎。やっとΖガンダムが出てきたので、もっと大活躍してくれるのかなあって思ったら、なんだかやられてばっかりで残念です。あと、気のせいかもしれませんけどフォウの声がテレビと全然違うように聞こえました。最近あまり聞けない島津冴子さんの声が聞けると思って楽しみに行ったのに……何か特別な事情があったのかなあ。心配です。
★★★★★ ★★★ (8点)


e0076213_2152369.gif これはガンダムでも映画でも物語でもない富野汁だ! テレビでは登場人物のひねくれた部分が強調されすぎて気づかなかった色恋の痛い部分がフィルターを外した結果、綺麗に見えるようになったなぁと思う。最初は絵のことが気になったけど、途中からどうでもよくなってきた、戦闘もカッコいいけど、それよりも富野監督の中にある恋愛観女性観にグッとくる。逆に言うとそれを受け入れられるか否かで好き嫌いがはっきり分かれるんだろうなぁと思う。 俺はウブな男の子が痛い女に酷い目に合わされる話が好きなのでお腹一杯楽しめた。三作目へと繋がるラストも素晴らしい。是非飲んでほしい。
★★★★★ ★★★★ (9点)


e0076213_2121886.gif「恋人たち」っていうサブタイトルは皮肉なのかなあ。確かに恋人たちの物語が今回の中心ではあるのだけどラブストーリーと呼べるようなロマンティックさからはほど遠く、描かれるのは厄介な男と厄介な女の厄介な関係ばかりだ。しかしテレビ版と比べるとそんな若気の行ったり来たりを生温かく見守っている雰囲気があり、ヘンケン艦長の堂々たるスケベオヤジぶりもいっそ清清しくすら見える。そして最後にガンダム史上もっとも厄介な女であるハマーンが登場しとんでもなく厄介なことになりそうだという予感を漂わせつつ次回に続くと構成にはかなりドキドキ。しかし状況全体が明確なターニングポイントもなく混沌としたまま進んでいくものだからロボット活劇としてのダイナミズムは乏しく、その点では『哀・戦士編』に比べるとやはり一段落ちる印象。
★★★★ (4点)


e0076213_212437.gif テレビ版『Ζ』は中盤が冗長なのでまとめるとかなりスッキリした印象に。でも物語も登場人物も随分と淡白になってしまった感は拭えない。新訳とはいうけど、単に日和って腑抜けになったっんじゃないのって疑いの目はしっかりもっておきましょうね、若い富野ファンのみなさん! 相変らずの説明不足と、新旧作画の混在による違和感は1本の映画としてダメだってことも直視すべき。全体的に『星を継ぐもの』よりこなれているし、フィルムの出来だけで言えば全然こっちの方が上なんだけど戦闘シーンが……ね。老人のつくるものはこれだから扱いが困るというものなのだよ! 冒頭のいい意味で唐突な始まり方はさすが。
★★★★★ (5点)
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by wakusei2ndnews | 2005-11-25 21:03 | movie

いつか読書する日



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 坂道の多い小さな町。まだ薄暗い夜明け、牛乳瓶の詰まった鞄を背負って、今日も彼女は家々のあいだをひた走る。
 大場美奈子(田中裕子)。50才、独身。朝は牛乳配達、昼はスーパーで働き、日々を暮らしている。
 毎夜ひとりのベッドでする読書。頁をめくるかすかな音が、ひっそりとした家にこだまする。静かな生活。ただひとつ、胸の奥のあの人を忘れることが出来たなら……。
 
 この秋、密かなブームを起こしている、緒方明監督(『独立少年合唱団』)の最新作が登場!
 



e0076213_2043099.gif 映画館で予告を観たときから、もうずっと観たかった作品です。映画館に行くとすごい人で、人ごみが苦手な私はちょっと辛かったけれど、観終わったあとは感動で胸がっぱいで、本当に観て良かったと思いました。30年以上もひとりの人を想い続けるって、どんな気持ちなのかなあ。地味な映画ですけど、「純愛」が好きな人って本当はとっても多いと思うので、機会があったらぜひ観て下さい。すっかり田中裕子さんのファンになっちゃったなあ。あんな生活、私には無理だけれどちょっぴり憧れます。でも朝早くからあんな坂道を牛乳配達するのって、私には絶対無理かも。
★★★★★ ★★★★★ (10点)


e0076213_2044926.gif 私は学生時代、中年とは30代後半ぐらいかと漠然と思っていたが、この映画の宣材では50代を中年と呼んでいる。確かに100歳ぐらいまで生きられる現在の高齢化社会ではそうなのかもしれない。本作は高齢化社会を扱った映画であるが、従来ならメインになったはずの惚けた夫を世話する妻の話は一挿話で済まされ、本編は50代の中年の純愛物語である。若い頃に許されなかった恋を持続したまま普通の日常生活を続け、それが50代になってから破られる瞬間を田中裕子と岸部一徳が巧く演じている。『NANA』や『タッチ』のような若い子の恋愛映画もいいが、今後はこういうタイプの映画も増えてくるだろう。地味ながら硬派で美しい佳作である。
★★★★★ ★★★★ (9点)


e0076213_2051133.gif 物語そのものは地味だし悲惨なのですが、それに対峙する二人のたたずまいがどこまでも誠実で頑固でしかも謙虚。日常のどうしようもない出来事を、田中さんと一徳さんの堅実さが根底でぐっと支えていて、だから向き合う人間の心次第で事実はどんな色にでも変わりうるっていうことをちょっとだけ信じさせてくれる映画です。あと、中年の恋愛ってこんなふうにかっこわるくてみっともなくて、でもそれが本当なんだっていう、そういうふうに描いてもらえると私のような中途半端な若者らは現実的な夢みれていいんじゃないかな。偽りで塗り固めて美化しまくった不倫映画って多いけど、それらにはない品っていうものがこの映画にはあるように思います。
★★★★★ ★★★★★ (10点)


e0076213_2052777.gif とにかく田中裕子がいい。17歳の恋を引きずったまま独りで生きてきた「50歳の少女」の何と魅力的なことか! 淡々と過ごす日常の一こま、橋の上ではじめてその名を叫ぶその瞬間、そしてラストの笑顔……どの場面を取っても彼女一人で映画を息づかせている。「本を読む女」が「手紙」を出して、受け取り、その過程が「小説」に書きとめられ、その周囲を痴呆の老人が「文字」を求めてさまよう……文字に刻みつけられた記憶が、時間をかけて人を支えるものに育っていくという「言葉」を巡る物語としても秀逸。それだけに、あのラストはやや安易だと思う。
★★★★★ ★★★ (8点)
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by wakusei2ndnews | 2005-11-21 20:06 | movie