『蓬莱学園』の新城カズマが「宇宙戦争や銀河帝国もない、完璧な空想科学小説」と銘打って放った話題作。田舎町の優等生が集まってつくった男女混合のSFファングループ(笑)で、ある日メンバーのひとり(不思議ちゃん美少女)が時間跳躍能力を身につける。喜び勇んで能力の分析に乗り出すメンバーたちだったが、事態は予想外の方向へと転がっていくのだった……。 凝った構成と鮮やかな仕掛けを絶賛する声の一方で、ペダンティックでオタク趣味丸出しのキャラ設定に賛否両論が渦巻いた本作を、遅ればせながらレビューします。 感動しました! こういうこと告白するの恥ずかしいけど、私、高校の頃はずっと悠有ちゃんみたいなことを考えていました。アニメ研究会にはSFと自転車が好きなオトコノコがいて、政治のこととか哲学のことにも詳しくて、とっても尊敬していました。私の悩みをいつも真剣に聞いてくれて……。少し斜めに構えていたけど、心の暖かい人だったと思います。結局、アニ研はそんな私の友達のオトコノコ同士がケンカしちゃって誰も部室にこなくなっちゃったんですけど、そんな苦い思いでも一緒に包んで未来へ運んでくれるような、素敵な作品だと思います。最後の悠有ちゃんの旅立ちには、本当に勇気づけられました。お勧めの大傑作です! ★★★★★ ★★★★★ (10点) 正直言って、あんましよく分からんかった。俺もかつては田舎で鬱屈を持て余す優等生(笑)だったのでそのあたりの空気はよく分かるんだが、ペダンティックに言及される作品の数々はほとんど読んだことがないし、タイムトラベルというネタにもこれといった思い入れがないので、なんかね。 しかしこの物語って、SFである必要はあんまりなかったんじゃないかという気がする。別にSFがSFでしか描けない物語しか描いちゃいけないとは思わないし、そもそもハヤカワなんだからSFじゃないと困るんだろうけど、SFでなければ俺にも少しは理解できたんじゃないか。よく分かんないけど。 ★★★★ (4点) 一言で言うと、天然不思議ちゃんを取り巻く天才病の田舎系少年少女達の妄想譚(天才病については松浦理英子『セバスチャン』を参照)細部描写は凝っているが、一方で高偏差値ならではのメタ視の虚勢と、甘ったるい挫折と、少女に希望を託す過程を回顧する構図とが「宇宙戦争や銀河帝国もない、完璧な空想科学小説」と言う帯の惹句に反して、それら「大状況」的なセカイ系作品と全くの同類に見えてしまうのは気のせいだろうか。SFと言うフォーマットが青春物語と親和性が高いのは分かるけど、精神的オナニーのカタルシスと、センスオブワンダーを混同されても困るだけ。オナニーしすぎてると、バカになっちゃうよ!(笑) ★★★★ (4点) SFというのは今や社会主義のようなもので、だとするとハヤカワはキューバだ。「もとSF好きの田舎優等生」として、主人公達の激イタい勘違いぶりのリアルさは認めるが、オチが不思議ちゃん(しかも名前は「悠有」……笑!)のイノセンスって辺りが本当にどうしようもない。虚勢を張ったところで、SFファンダムがスノッブとロリコンのるつぼだってことを再確認させてくれる作品。こういうオッサンたちの楽園(キューバ)は大切にしてあげないといけないと思わなくもないけどね(笑)。上の世代に媚びてるのか、このオタ臭く甘ったるいスノビズムの救済にしびれてんのか知らないけど、「これを褒めなきゃ」みたいな空気が若い層にまであるのが情けない。キューバってカストロ死んだらどうなると思ってんの? ★★★★★ (5点)
by wakusei2ndnews
| 2005-10-22 11:12
| novel
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