黒沢清が、『ドッペルゲンガー』以来3年ぶりに手がけたサスペンス・ホラー。新作執筆のため引っ越した郊外で中谷美紀演じるヒロインが、ミイラを研究する男(トヨエツ)と出会ったことから悪夢のような日々を過ごす。 トヨエツさんと中谷美紀さんの大ファンなので楽しみに観に行ったのですけど……なんだかよくわかりませんでした。あんまり難しいお話じゃなかったと思うので、私がちゃんとお話をおいかけられなかったのかもしれませんけど……でもきっと、色んな人が褒めているので、ものすごく深い意味が隠されているんでしょうね! お目当ての二人は相変わらず素敵だったですけど、一番印象に残ったのは安達祐美ちゃん。この娘って美人じゃないけど(失礼!)本当に演技力があると思います。西島クンも怖かったことは怖かったですけど、西島クンにだったら殺されてもいいなあ、なんて思っちゃうダメな私がいますー。 (7点) ★★★★★ ★★ 「永遠の美」を体現するミイラ、微速度撮影で撮られたミイラの監視フィルム、同じく、コマ落としの編集。二人の作家、作家と編集者、憑依、二つの死体、二度殺された死体などの『ドッペルゲンガー』にも見られる対称・代理・あるいは逆転のイメージ。そしてB級映画っぽい何か示唆的な、それでいて後味の悪い終わり方など、魅力的な場面に満ち溢れている。 演出上の技巧も申し分なく、ホラーとしての魅力はもちろんだが、終盤に至って、豊川と中谷の唐突な抱擁、動き出したミイラ(普通なら絶叫してしまうような山場なのだが)に掴みかかって凄む豊川など、ギャグとしか思えないシーンが頻出する。そのアナーキーともいえる複雑さゆえに単純に面白かったというのも憚られてしまう。 (9点) ★★★★★ ★★★★ サブカル系にやたらウケの良い黒沢清だが、今回も私はさっぱり面白くなかった。理由は物語がわけワカメだったからではない。映画らしさが失われたからだ。元々私は黒沢監督のファンだったのだが、『回路』以降さっぱりダメになったと見ている。原因はおそらくDV撮影(編集)に頼るようになったからである。今回も2台のデジカメを使って、その魅力を嬉々と語っているが、撮る方は面白くても見る方はエッジの甘い、暗い画面を見させられてうんざりだ(たぶんTVモニターで見るとキレイ)。得意だった長回しも使わなくなって、無意味なカット割りが目立つ。批評家はいろいろ面白く話を解釈するだろうが、まず画面の抜けの悪さに気付けよ。 (1点) ★ 一部では「黒沢清だから褒めなきゃ」って空気があるみたいだけど、これは庇わない方がいいでしょう(笑)。シネフィルへの目配せばかり目立つ一方で、こういう「不安」や「イライラ」をトラウマ&フラッシュバックみたいなアイテムで表現するという10年前のセンスが本当に辛い(笑)。青山真治と並んで今、相当厳しいところにいる監督だと思う。そして蓮実系の映画批評が、作り手にこういう形で悪影響を与えてしまう時代になったんだなあ、と色んな意味で感慨深い。あと、いくら「そういう映画じゃない」といってももう少し脚本はしっかり取材して書いたほうがいい。出版社と大学の適当な描写はテレビドラマ以下。画面も粗く、「エリエリ……」と並ぶ今年を代表する不良債権映画。安達祐美はまあ、良かった。 (3点) ★★★ #
by wakusei2ndnews
| 2006-10-28 14:33
| movie
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